午後は決まった時間に決まったことをする
どこかで脳を休ませる時間を作る
脳は起きている間は多種雑多の情報を休むことなくインプットし続けています。見るもの、聞くもの、読むもの、匂いや皮膚感覚などありとあらゆる情報を収集し続けています。本人の意思とは関係なく無意識なものも含めると膨大な量になります。
夜、床につくまでに時間を有効に使おうと思えば、どこかで脳を休ませる必要があります。昼過ぎ12時から14時の間が適当ですが、日没までに行いたいです。脳は目から入ってくる映像情報を処理するのに大きなエネルギーを使っています。ですから目を閉じて光を遮断することによって一瞬にしてクールダウンすることが可能です。20分程度がよいとされています。1時間以上、つまり眠ってしまうと体温が低下し、完全な睡眠状態に入ってしまうので、起きにくくなってしまいますから避けた方がいいです。
クールダウンを20分ほど行うだけで、その後の活動効率が格段にアップします。
決まった時間に決まったことをする
いくらクールダウンを図ったとしても、午後の脳は午前中ほどアクティブではありません。体力的にも疲れが現れることもあって、あまり難解な課題に取り組むのには適していません。一度習ったことを復習するのに適しています。もちろん軽く適度な予習をすることは結構です。しかし理解に時間がかかるようなレベルの込み入った予習は避けるべきです。 時間が経つにつれて単純作業や反復作業に当てましょう。
脳は疲れるに従って、思考力を要する作業を避けるようになります。一方で目から入ってくる映像情報などは活発に取り込もうとするため、一方的に情報を送り込んでくるテレビや漫画、単純作業をベースとしたゲームに向かってしまうのです。
そこで重要になってくるのがタイムマネジメントです。何曜日であるかには関わらず、毎日この時間にはこれをする、といったルーティーンワークを課すのがベストです。例えば、帰宅後すぐ机に向かい、10分でも20分でもいいので、英単語を覚える。それが終わったら紅茶やお菓子を少し食べる。といったように、無理なく継続できそうなルーティーンワークを作って、習慣にするのです。
ルーティーンワークを習慣化することはそう簡単ではありません。多くの人は「双曲割引特性」をもっているため、疲れているのに帰宅後すぐ勉強なんかしたくない、テレビを見たり、ゲームをしたいと言う風に、すぐに達成感や爽快感を得られる物の方へ意識が向くでしょう。
成績を上げたい。希望する進路に進みたい。その気持ちがあれば、習慣化することができます。まとまった時間勉強した後に、少し娯楽の時間を楽しむようにすれば、それを繰り返すことで、すべき課題をこなすことができるはずです。
決まった時間に決まったことをする習慣がつけば、それが当たり前になって、苦痛に思わなくなるでしょう。ぐずぐずとなかなか行動に移せない人は、心の中に何十個もの鍵がかかった扉があるようなものです。一つの扉を開けて中に入っていくのに、いちいちポケットから鍵を取り出して鍵穴にさし、ガチャリと空けなければ中に入っていけないのです。
一方で、勉強する習慣が付いている人は、心の中に扉が同じようにたくさんあっても、そのほとんどに鍵がかかっていない状態なのです。すぐ入っていけます。すぐ教材を開きますし、すぐ問題を読み始めます。時をおかずにすぐ考え始め、解答にたどりつき、ほんの少し達成感を味わいます。ゲームでクリアしたときの快感や、お笑い番組で馬鹿笑いしたときのような爽快感とは別の地味な達成感かもしれません。しかしそのことが有する意味は計り知れないものです。一生涯にわたってその人を支え、武器になります。
決まった時間に入浴し、就寝する
入浴は体中の血流ををよくし、疲れた神経系をおおきく和らげます。リラックスモードになったら、時をおかずにすぐ就寝します。翌朝決まった時間に起床するための非常に大切な習慣です。
こうして見て行きますと、規則正しい生活習慣がどれだけ重要かがわかります。人より勉強ができるようになりたいなら、絶対不動の生活習慣を獲得する以上に大切なことはないのではないでしょうか。極論を言えば、ごく幼い時期からそうした生活を送っている子供は、特別な勉強をそれほどしていなくても、その気になればいつでもライバルを追い越し、突き放していけるポテンシャルを持っているともいえるでしょう。そしてあくせくと高いお金を払って有名塾や有名校へ行かなくてもほとんど独学で必要な学力を身につけ、一流大学へ進んで行ったり、将来好きな仕事について、楽しく豊かな生活を手にしていくでしょう。
誰しもそうした生活習慣を手にする可能性はあったとしても、実際に行動に移す人は限られているのです。
「早寝早起きをしましょう」
ついこの言葉を軽く見て、馬鹿にしてはいないでしょうか。非効率的で無意味な時間の使い方ばかりしていると、それを習慣化し実行し続けている人との間に、埋めようのない大きな開きを生じさせるでしょう。その後の人生に大きな違いを生み、一方はルールメイカー側に、もう一方はいいように利用されるばかりの側に立っているかもしれません。そんな風にいうと言い過ぎでしょうか。
学びに最も適した環境とはどういったもので、どうすれば作りだせるのかのご説明は以上で完了しました。あとは実行あるのみ!今日からはじめてください。