SNS中毒を断ち、粘り強さを手に入れる

SNS中毒に侵される子供たち

 携帯電話の扱いについては、テレビ以上に頭を悩ませるものがあります。必要な時に電話をかける程度なら何の問題もありません。しかしラインやツイッター、YOUTUBEに代表されるSNS(ソーシャルネットワークサービス)にはまっていつでも片時も離さず使用している子供は、中毒になっています。

 それが一過性のもので、あるとき飽きてしまい、使用頻度が激減すれば安心ですが、友人関係を気にしてどうしてもやめられないケースや、子供自信が中毒になっている場合は、やめさせなければなりません。

 思い切った処置をほどこさなければ、学年が進むにつれて話はどんどんこじれていきます。勉強についていけなくなると、SNSに逃げ場を求め、勉強のできない者同士傷をなめ合い、心の安定を図ろうとするからです。

 そうなると、もはや学校や勉学は自分を苦しめる「敵」であり、「悪」です。こども任せにするのは非常に危険ですから、親が管理すべきです。

 人間はすぐに効果が表れるものや、刺激の強いものを好む傾向があります。それに対して、がんばってもなかなか成果が実感できないことを嫌うものです。勉強もそうです。ダイエットもそうです。なかなか目標達成がかなわないことは、だんだん嫌になり、自分から遠ざけ、今楽しいことをしよう、今おいしいものを食べようとしてしまうのです。実はこうした目先のことばかりを優先してしまう傾向のことを、行動経済学の言葉で、「双曲割引」という心理が働いて起こしている行動パターンなのですが、それは後にご説明します。

10代のころに一番手にすべき「武器」とは、少々時間がかかっても何かをやりとげる「粘り強さ」なのです。

 がまんができる子に育てようと、私たち大人が子供を取り巻く環境をコントロールしなければいけないのです。SNS中毒に陥り、現実逃避を続ける子たちを救えるのは、家族しかいません。

 粘り強さを手に入れた人は、成績が上がったとか、受験に合格したとか、そうしたレベルをはるかに超えた次元で大きな武器を手にしているのですから、与えられた人生を好きなだけ謳歌することができるのです。

暇な時間が多い人ほど注意

 学校生活が忙しい人ほど時間に制約がかかり、SNSに取られる時間が少なくなります。一方で宿題もそれほど多く出ないし、やっていかなくても放っておかれる環境なら要注意です。暇な時間にまかせて、際限なく携帯を使用し続けるでしょう。

 私が以前見ていた高校生は、中学を卒業するまでは、自分の携帯を持たされていませんでした。それでも母親の携帯を相当貸してもらって使っていたようですが、それでも自分のものではない、というある程度の理性が働いて、無茶な使用をすることはなかったようです。

 携帯電話と同様に、パソコンでのインターネットの利用も同じです。特に動画サイトにはまってそればかり見ている子供がいます。

 様々な物事に旺盛な興味を持つ彼らを、コントロールして、これから彼ら自身の力で生きて行く上でなくてはならない知識や知恵を持たせなくてはならないのです。

 友達関係がこじれるから、みんな持っていて自分だけ持っていないと仲間は外れになるから、といった理由は、彼らの将来のための、まっとうな理由になっているでしょうか。

 子供にガンガン勉強させる進学校もあれば、やる気のない生徒には冷たい、あまり勉強に力を入れていない学校もあります。後者の場合、塾や家庭教師をつけて、なるべく暇な時間を与えないようにしているご家庭もありますが、それでもやはり限界があります。

 なるべく無駄を省いて、シンプルに、簡素に彼らの身の回りを整理してあげてください。これは、大人が手つだってでもすべきです。