双曲割引と指数割引
夏休みの宿題
みなさんにお聞きします。
「子供のころ、夏休みの宿題をいつごろ終わらせていましたか。」
明日やろう、と思っても遊んでしまい、また次の日、次の日と後回しになっていた人はいないでしょうか。中には夏休みの最終日に全部一気に仕上げたという人もいるかもしれません。
人は今すぐ手に入るモノに価値を感じて、時間を経過しないと得られないモノには価値を割り引いて感じてしまう傾向があると言われています。
次の質問です。
「今すぐもらえる10万円と、1年後にもらえる10万500円どちらを選びますか。」
今すぐもらう方を選ぶ人が多いそうです。1年待てばより多くもらえることは分かっていても、「今すぐもらえる」という条件には負けてしまうのです。
さらに質問です。
「1年後に10万円もらえるのと、1年と1日後に10万500円もらえる場合はどうですか。」
こちらでは10万500円の方を選ぶ割合が多いそうです。
このことから、「今すぐもらえるほうを選ぶ」=「がまんができない」人の心理を分析することができるのです。
上の図が双曲線です。横軸のメモリ「1」から「2」にかけての落ち込み具合が最も激しいです。夏休みの宿題はそうすぐには完成、つまり「今すぐ手に入れる」ことが困難なモノです。ですからその価値を大きく割り引いて考えてしまうのです。それに比べてゲームやテレビ、遊びに出かけること、「今すぐ楽しさを手に入れることができる」ことに最大の価値を見出してしまい、そちらを選んでしまっているのです。
それに対して、夏休みの宿題は先に全て終わらせて、後で遊ぶタイプの人は別の感覚を持っています。
指数関数といわれるグラフの例です。横軸を時間の経過とすると、しばらく何の変化もしめしていないように見えます。実際はわずかづつですが増加しているのですが、あるときを境に一気に変化しています。
何かを手に入れようとする時、少々時間がかかったとしてもその価値はほとんど割り引かれませんから、意欲を持続させることができるのです。
世の中を見渡しても、本当に価値のあるモノやことは、手に入れるのに時間がかかるものです。誰にも真似できないアイデアや発想、技術など、創造性に関することのほとんどはそうしたものです。そしてそうした力を手にしている人は指数関数的な考え方に基づいて行動しています。自然と身についていた人もいるかもしれませんが、意識してそういう習慣を身につけようと努力してきた人です。
これが武器です。将来豊かで幸せに生きていくために、ぜひ身につけたい感覚ではないでしょうか。