私は学生時代より塾講師、家庭教師を数多くこなしてきました。その頃より小学生の中学受験指導が自然と中心となって参りました。私自身が中学受験経験者であり、自身の頃と比較して、受験生の皆さんの求められるレベルが極めて高くなっている事や、様々な塾やテキストが氾濫している状況を見て、最も有効な学習法あるいは指導法はどうあるべきか、また、入試で求められる学力がいかなるレベルであるかを、改めてその頃より見つめなおして参りました。

その後今に至るまで、無数の子供たちと接し、お手伝いをさせて頂きましたが、基本線としての私の探究は変わっておりません。

算数は、人に習うという学習方法が他科目と比較して、最も有効に働く科目です。とかく、数に対するアレルギーとか、ひらめきが無いなどの理由で毛嫌いされる科目ではありますが、受験算数にはきちんとした学習方法が確立されております。それはまず第一に、習う、真似るという事です。ノートの取り方、図の書き方から、計算の仕方まで、考える道筋丸ごと真似るのです。これが出来るようになれば、まず苦手ということはなくなります。はじめは形から入っても、自然と考え方まで似てくるのです。発想が算数的になってきます。

次の段階として、各分野の問題に対して、アプローチの仕方の判断が出来るようになります。この問題ならばこの方法、あの問題ならばあの方法というように、解き方の選択が出来るようになるのです。

ここまできたら、初めて分野の混合した問題を少しだけ練習するようにします。例えば、問題の前半は速さの問題として処理し、後半はつるかめ算の問題として処理する、などです。レベルアップのための期間なので、ここでは焦らずに時間をつかいます。すでに算数に対して、一定の自信を持って望めるレベルになっているでしょう。

そして、最後に大切な事として、テストの受け方があります。入学試験というものの最も厄介なところですが、日頃の実力や努力が得点として反映されなければなりません。意外と思われるかも知れませんが、これが最後の難関であります。

緊張状態の中で、いかに冷静に、ミスを最小限にしつつ、最適な時間配分で得点を確保するか、これについても十分な指導をしていきます。

こうして文章に起こしてみますと、特段に目新しいことでは無いと思います。しかし一つ一つの段階を地道に辿って行き、安定した学力を作っていくには、相応のノウハウと経験が様々な場面での判断に必要です。そうしたことの一助になれれば幸いです。

多くのかつての生徒たちが、社会の多方面で活躍されていることを知るにつけ、長い人生の中で、ほんの短い期間ではありますが、お役に立てれば、これに越したことはありません。